第1話

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「だーかーらー!お願い!ねぇいいでしょ!?」 何それ!まったく理由になってないし… 「おおがみー!おおがみってばー…ねっ、親友を助けると思って!このとーり!」 正確には、親友の【彼氏】を助けると思って、でしょ! 土曜日の夕方、バイト先の事務所に乗り込んできたアタシの親友様… 「おー、なんだ?シフトでも確認に来たのか、姫野」 休憩に入ったシフトマネージャーが件の親友様に声をかけた。 「あ、マネージャー!そういえばシフトも!私と大神、明日お休み取ってましたよね?」 「おー、稼ぎ時の日曜日にな。勘弁してくれよー…お前いねーと集客悪いのなんの…」 アタシはどうしたアタシは。 「ふふ!来週はバッチリ入ってますから!そんなこと言わないで明日は頑張って?ね?」 「相変わらず調子いいなぁ、まぁよろしく頼むよ」 無視かよ! てか、あー、アタシ汗臭いかも。 早く家帰ってシャワー浴びたい。んで、寝たい…連勤明けキツい。 「ねー、大神、早く着替えて行こうよ」 「やだよ」 「だめだめ、もう決定事項だから!チケット買っちゃったし」 「そんなこと言っても…アタシ、またどうせ…」 「フレッシュネスのランチで手打って」 「スパムバーガーね、生グレープフルーツジュース」 「大神、私は話のわかる親友がいて嬉しいよ」 姫野には適わない…ていうかスパムバーガーの魅力には逆らえまい。 てか逆らえる人いるの? カーテン一枚で仕切られただけの頼りない更衣室で着替えながら 聞こえないように小さな溜め息をもらす。 姫野に声をかけた。 「王子、何番手?」 「んむぐ?あぁ、トリだよ、今日は!王子君たち主催だから」 「なんか食べてる?」 「駅前のミスドでおやつ買ってきた」 「アタシの…!」 「オールドファッションね、あるある」 「ふふ」 …やだ、アタシってばつくづく買収されてる。
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