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そして、体を後ろに持ち上げてソファに腰かけると、まだ床に座ったままの私を見つめて、にっこりと笑った。
「…あと1週間で中間テストでしょ。
ちゃんと勉強してね」
「あ、はい…」
急にさっきまでの甘い雰囲気がすっかり消えてしまって、思わずため息が漏れる。
「…唇、尖ってる」
先生は笑いながら、私の顔を覗き込んだ。
イタズラっぽく揺れる瞳に、ドキッとしてしまう。
うう、もうっ。
恥ずかしくなって手で口を押さえて隠すと、彼はふっと目を細めて優しく頬を緩めた。
今日は固められていないアッシュブラウンの髪がさらりと揺れる。
「テスト終わったら、…どこか行こうか。
…ちょっと遠くまで行ったら、誰にも会わないだろうし」
わ、デートだ…。
手の下に隠した口元がニマニマと緩む。
一度だけ二人で映画を観に行ったことがあるけれど、私が人混みがダメなせいもあって、先生と付き合ってからはマハロとその近くの海以外へのお出かけはしたことがなかった。
「…行く?」
「行くっ、行きますっ」
嬉しくなって身を乗り出すと、先生は綺麗な笑顔を浮かべて、嬉しそうに言った。
「ん。数学、70点以上取れたらね」
…イジワルっ。
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