数式1

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細胞が反応するように、ドキン、と心臓が跳ね上がった。 スバルが顔を上げて、私の肩の向こうにすっと視線を移す。 それを目の端に映しながら後ろを振り向くと、大沢先生が立っていた。 「…せんせ、どうして…」 会えると思っていなかった先生に会えた嬉しさと気恥ずかしさで、頬が熱くなっていく。 じっと見つめる視線の先で、彼はゆっくりとこちらに向かって歩み寄ってきた。 ワックスで固められた髪がふわりと風に揺れて、その間から見える綺麗な瞳が真っ直ぐに私を捉える。 「…車で通りかかったら、姿が見えたから…。 …どこか、行ってたの?」 「はい、スバルのうちで勉強して…」 「…ふーん」 先生は、無表情な顔で興味なさげに頷いた。 それから、ふっと私の後ろに目を移して、スバルに向かってにっこりと笑顔を作り、 「…相川、ありがとね。 後は俺が家まで送るから。 それと…」 言いながら、もう一度ちらり、と私を見る。 ゆらりと揺れる眼差しにドキッとして、私は思わず息を飲んだ。 じっと見つめられて、鼓動が早くなっていく。 「…浅田。 服、…返したら?」 …あ。 先生の言葉にハッとして、ファスナーを下ろそうと慌てて胸元に手をかけると、スバルはその手を掴んでそれを止め、 「いいよ、風邪ひくから着て帰れよ」 私を見下ろして優しく目を細めながら言って、顔を上げて先生を見た。
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