数式1

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「…いいですよね?」 「ん、でも、車だから大丈夫だよ」 そう言って、先生は笑顔のままで一瞬後ろに視線を流す。 つられて振り返ると、少し離れたところに、ハザードランプを点滅させて停めてある黒っぽい車が見えた。 後ろに付いている特徴のあるエンブレムで、先生の車だとわかる。 スバルはちらりとそちらに視線を走らせた後、まるで先生の言葉が聞こえなかったように、 「遥、寒がりなんで。 …ほら、風邪ひくなよ」 最後の部分はこっちを見て言って、フードを私の頭にふわりと被せる。 そして、ぽんぽん、と二回頭を軽く撫で、ニカッと笑った。 いつも通りに戻ったスバルにホッとして笑顔を返すと、 「じゃあな、また明日。 腹出して寝んなよ」 わ、先生の前でっ。 「もうっ」 恥ずかしくなってスバルを睨みながら頬を膨らませると、彼はイタズラっぽく頬を緩めた。 「…送ってくれてありがとう。 気をつけて帰ってね」 「ん、おっけ。 じゃあ、先生、失礼します」 「…ああ、気をつけてね」 先生の感情の込もってないような声を頭上に聞きながら、スバルに軽く手を振る。 駅の方に向かって走っていくスバルを見送ってからふっと隣を見上げると、私を見ていた先生と視線がぶつかった。 …わ。 目が合って、ドキッとして思わず背中がピン、となる。
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