数式1

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「…浅田」 角度を変える為にできた唇の隙間から、掠れた声が静かな部屋に響く。 吐息混じりの囁くような甘い声と息苦しさに、頭の芯が痺れてクラクラしてしまう。 ソファを背に床に座り、先生は立てた足の間に座らせた私に優しく何度も口づける。 先生のシャツの胸元をきゅっと掴むと、彼は私の唇に触れていた自分の唇を少しだけ離した。 そして、その一瞬で息をしようと口を開きかけた私に、覆いかぶすようにまた唇を重ねる。 頬から滑らせて髪の中に入り込んできた先生の長い指が、頭を抱えるように私を捉えた。 「…んっ、…ふ、…あ」 わ、私の声、…自分じゃないみたい。 唇から漏れる自分の声の甘さに恥ずかしくなって、私はシャツを掴む手にぎゅっと力を込めた。 何度抱きしめられても、何度キスを重ねても、全く慣れなくて。 頭が真っ白になって、どうしていいかわからなくて泣き出してしまいそうになる。 「…息、苦しい?」 唇を離して、先生は笑い混じりの声で訊いた。 そっと目を開けると、チョコレート色の瞳がすぐ近くに見えて、少し細められたそれが私を映して甘く揺れる。 …あ。 きゅう、っと胸が締め付けられる。 恥ずかしさと息苦しさで、私は俯いて先生の胸に額を擦り付けて大きく息を吐いた。 ーー私はまだ、キスの最中にうまく呼吸すらできないでいた。 彼は私の背中を優しく撫でながらクスッと笑って耳元に唇を寄せ、 「…少し、練習しようか」
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