第1話

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「晃二……」 台所の方から僕を探す声がして 座敷に居ますと返事をすると 義兄さんが苦笑いをしながら座敷に入って来た 「この家は広いから人を探すのにケータイがいるな 晃二は一人暮らしで寂しくないのか」 冷えたグラスにビールを注ぎながら もう慣れましたからと返事をした 明日の午前中に菩提寺で 姉のお盆の法事をしますからと義兄さんに説明して ドキドキしながら義兄さんの予定を尋ねた 「義兄さん…今年は何日ここで過ごせますか」 「二晩世話になるよ 今日はもう寝るだけだし 明日は法事の後にドライブにでも行こうか」 せっかくのお誘いだが 狭い車の中で義兄さんと二人きりなんて 意識し過ぎて耐えられないと思い 僕はやんわりと断った
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