第1話 緑風

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これが、私とナツミとの再会だった。 その後しばらく、友達を待つ間に面接の事やたわいない話で盛り上がっていた。 彼女は中学2年の時に引越していて、今は私の地元から離れた所に住んでいると言っていた。 南高校が第一志望で、推薦がダメだったら一般入試も受けるらしい。 「合格したら、また同級生だね。」 そう言ったら、満面の笑みで 「うん!!!」 と返してくれた。 久しぶり会った彼女は、ものすごく可愛かった。 もともと可愛い子ではあったけど、小学生の時はもっと大人しくてもの静かな子だった気がする。 色が白くて小さくてニコニコ笑って、女の子らしい女の子。 フワフワした髪の毛を2つに緩く結び、それが似合っていてとても可愛い。きっとモテるんだろうなぁと思った。 そうこうしているうちに、私の同級生が校内から出てきた。 「あ、ごめん。もう行かなきゃ!せっかく会えたのにごめんね。」 「うん、へーきだから行って。また合格発表の時に会えるよ!お互い合格しますよーに!」 「そーだね。私も祈っておく!またね!」 ほんの10分にも満たない再会だったけれど、懐かしくて嬉しかった。学校に戻ってから、同じ小学校だった友達に日野夏実ちゃんに会ったと言ったら、みんな懐かしがっていた。 同じクラスの時は、そこまで仲がいい訳でもなかったけれど 小学生の時の彼女の姿は今でもよく覚えていた。あの頃からちいさかったな。 思わぬサプライズを伴って 推薦入試 は終了した。 合格発表は2月の12日。 果報は寝て待て。 ということわざを信じた訳じゃないが、根を詰めた勉強はせずに比較的穏やかに発表までの日々を過ごした。 たまに、日野さんはどーしているかな、と考えたりもした。
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