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「えーーー!秋島先輩の彼氏、大学生なんですか?!」
興奮で声のボリュームがつい大きくなってしまった私は、自分で自分の声にびっくりして慌てて口を噤んだ。
現在、私は秋島先輩と2人、家へ帰るべく電車に揺られている真最中だ。
100円ショップで買い物を済ませた後、即座に帰ると言った星村先輩に対してワタル先輩はもはや何も言わず。
いい時間にもなっていたし、テスト明けの疲労もあったので、結局全員で駅へと向かいそのままの流れで解散となった。
一つ前の駅でワタル先輩が電車を降り、秋島先輩と2人になったタイミングで何気なく先輩にも彼氏がいるのか聞いてみたところ、なんと現在大学生の彼氏がいるとの事だった。
しかも彼氏さんは昔から仲の良い、いわゆる年上の幼馴染というやつで、もう2年間も付き合っているらしい。
「素敵ですね~!先輩が大人っぽいの、分かる気がします。」
「そんな、全然年上の感じしないの。小学生の頃から一緒に遊んでるから、同級生と何も変わらないよ?」
私の言葉に、先輩は困ったように笑ってそう答えた。
秋島先輩は、落ち着いていて本当に大人びているし、年上の彼氏がいるというのがすんなり納得出来た。
「トーコちゃんは?
ナツミちゃんがヨウヘイ君LOVEだっていうのはうちの学年でも有名だし、見てて分かったけど・・。」
う・・・
やっぱり来たか。
自分から質問しておいて何だが、あまり聞き返しては欲しくないなと、正直思ってしまった。
「いえ、私は・・・。そういうのは一切無くて。灰色の高校生活です。」
私の答えに、秋島先輩は、
「あはは、まだ始まったばっかりなのに!」
と言って、おかしそうに笑った。
「トーコちゃんかわいいし、これからいっぱいバラ色の生活が待ってると思うよ?」
「ば・・バラ色ですか???」
秋島先輩には悪いが、そんなものが今後控えてる気は微塵も感じない。
「そ。楽しいことあるから。トーコちゃんなら、私も安心。」
「・・・は?安心?」
どういう意味か全く分からなくて聞き返すが、秋島先輩は相変わらず穏やかに微笑みながら、
「心配無いってこと。」
と言って、それ以上は教えてくれなかった。
なんだか納得いかなかったが、私もそれ以上は聞くことが出来なくて。
私はまだこの時、秋島先輩の笑顔の裏に隠された秘密を知る由もなかった。
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