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「ナツ・・!!」
本当は
「ナツミ」と言おうとしたのだけれど、私が全部言い終わるより
私の腕がすごい力で掴まれる方が早かった。
掴まれた腕が痛い。
目を見開いて、走って来たからだろうかゼーッゼーッ肩で呼吸を繰り返す様子は、
はっきり言って怖かった。
「どうしっ・・」
そしてまた、
「どうしたの?」と聞き終わるより
彼女の口から
「ヤバイのっ!!!!」
という言葉が出る方が早かった。
「え・・、な、何が??」
今度こそ全部言えた。たった一言だけれど。
「いいから、ちょっと来てっ!!!」
完全に面喰らっている私の腕が、引っ張られる。
と、そのまま廊下の先まで走り出した彼女につられて、私も半ば引きずられるように走っていた。
途中、「何?」と声をかけた私の質問は完全に無視された。
尋常じゃない。たぶん、廊下で出来る話じゃ無いのだろう。
廊下の端まで走らされたと思ったら、そのまま右側の教室に入って行き
さらにその教室の一番後ろの角まで行った所で、ようやく私の腕は解放された。
この教室は、選択科目の授業で使われるフリーな教室で
当然朝のこの時間に生徒の姿は無い。
1組から4組、のそれぞれの教室は今駆け抜けた廊下の左側に並んでいる。
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