第1話 緑風

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誰もいないんだから、別にこんな端に追いやらなくてもいいのに。 しかし友人は完全に興奮しきっていて、そんな感想を聞いてくれそうもなかった。 ようやく腕が解放されたタイミングで、 「どうしたの?」ともう一度聞いた。 「どうしよう!!」 とりあえず、話してくれないとどうしようもないんだけどな・・・ 全く拉致が明かない問答に、いい加減終止符を打つべく 「だから何が?」 と言おうと思った時、彼女の口から出てきた言葉を聞いて 朝から走らされた疲れがドッとでてしまった。 「鈴木先輩がっ!!!」 ・・・なんだよ。正直またか、と思ってしまった。そんな事でオーバーに走らせやがって。 やれやれといった感じだったが、本人は今にも泣き出しそうに顔を真っ赤にしていた。 どーせ、たいしたことじゃないだろうなぁ、と思いつつもとりあえず聞いてあげた。 「鈴木先輩がどうしたの?」 途端に、本当に一粒の涙がこぼれ落ちた。 え?泣いてる?ヤバイ。本当に何があったの? そのままボロボロと泣き始める姿を見て、どうしようか本気で心配になった時、 ようやく彼女の口から真相めいたことが出てきた。 ひどくバカバカしくて、しばし脱力してしまう程ぶっ飛んだ真相が。 「す・・鈴木っ先輩、ね・・・ オカマさんだったのっ!!!!」
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