平助の恋

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屯所の生活にも慣れて、私がおさよさんから頼まれた洗濯をしていると、いつものように平助くんが話しかけてくる。 平助くんは優しい。 洗濯もたまに手伝ってくれるし、私が桶に水を汲んでいると私の代わりに桶を運んでくれたりする。 「雛!こっちに来てみな!!いいもの見せてあげる。」 「何?平助くん。」 平助くんの呼ぶ方へ行くと家の軒下に燕の巣があった。 そこには口を一生懸命開けて親の餌を待っている燕の姿があった。 「燕の雛。かわいいでしょ?」 「ふふっ、かわいい……。」 私は微笑んだ。 「……やっと雛が笑った。」 「えっ?」 「雛って全然笑わないから心配してたんだ。この子なんで笑わないんだろうって……。でも今笑ったよね。その方が絶対かわいいよ。」 久しぶりに人前で笑ったことに気づいた雛は急に恥ずかしくなった。 「平助くん、このこと誰にも言わないで。恥ずかしい……。」 「嫌だよ。俺しか見てないからみんなに自慢する!!」 「あっ!稽古の時間だ!!じゃあまたな、雛!!」 「……うん。」 ―――――――― ―――――― ―――― 「総司、最近、平助が姫川のことをやたら気にかけているように見えるがいいのか?」 斎藤が沖田に聞いてくる。 「いいって何が?」 「姫川の世話係はお前なんじゃないのか?」 「何で僕?関係ない……。」 そこに平助の声が聞こえてきた。 「それでね、雛が初めて笑ったんだ!!しかも俺の前で!!」 「へぇ~、いいなあ。雛さん絶対、藤堂組長のこと好きですよ。」 「俺たちも見てみたいな。」 「雛はいつも綺麗だけど、その何百倍もきれいだった。」 その言葉を聞いて斎藤が呟く。 「姫川が笑ったのか……。」 「…………。」
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