2972人が本棚に入れています
本棚に追加
沖田はしばらく黙ると竹刀を持ち、はしゃいでいる平助の方へ歩いていった。
「平助。」
沖田の呼びかけに平助が振り向く。
「何?総司。」
「ちょっと手合わせしてくれない?」
「手合わせなら他の奴でもいいだろ?」
「ふ~ん、そう……。僕に負けるのが嫌なんだ。平助のお気に入りの『彼女』に格好悪いところ見せたくないもんね。」
「……分かった。相手になってやる!!総司から一本取って雛にいいところ見せてやるんだ!!」
藤堂は竹刀を持ち、沖田と手合わせを始めた。
――――――――
――――――
――――
私が洗濯をしていると道場から大きな声が聞こえてきた。
「大変だ!!藤堂組長が沖田組長に手合わせでボコボコにされた!!」
平助くんが……?
慌てて道場の方を見ると、道場から稽古着を着た沖田さんが出てきた。
そして井戸にいる私と目が合う。
私と目が合うと沖田さんは意地悪く笑って私に言う。
「まったく弱いくせに僕に一生懸命向かってくるからつい本気出しちゃったよ。」
「どうして……平助くんをボコボコにしたんですか?」
「気にくわなかったから。」
「……私、平助くんのこと見てきます!!」
私がそう言って平助くんのところへ行こうとすると、沖田さんに力強く腕を掴まれた。
「何ですか!?」
「君も気にくわない。」
「えっ?」
「君は平助のこと好きなの?」
「……沖田さんよりは好きです。」
「ふ~ん、だったらなおさら行かせない。」
沖田さんの私の手を掴む力が強くなる。
「離してください!!」
「嫌だね。僕も君のこと嫌いだから君の嫌がることをしてあげる。」
「離して!!」
「沖田さん、雛さん、何してるんですか?」
「あ、おさよさん。」
声の聞こえた方を見るとおさよさんが立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!