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その日、夕餉が終わったあと、平助くんは姿を現さなかった。
いつも私のところにお膳を下げに来るのにその日は来なかった。
永倉さんがお膳を下げに来たときに私は永倉さんに聞いてみた。
「永倉さん、平助くんはどうしたんですか?」
「……部屋にいるよ。今、土方さんと左之が食事をとるように言っているんだけど部屋からなかなか出てこなくてな。総司に負けたのが悔しいんだろう。」
「雛、平助のところに行ってやってくれないか?雛の言うことなら聞くかもしれない。」
「分かりました。平助くんの部屋まで連れて行ってください。」
「ああ……。」
その様子をじっと見ていた沖田に膳を下げにきた斎藤が言った。
「総司…行かせていいのか?」
「…別に……僕には関係ない。」
「平助と手合わせしたのは姫川が原因だろう?」
「違うよ。何で彼女が出てくるの?ただ真面目に稽古しない平助にむかついただけ。」
「だが少しやりすぎだ。あれは手合わせの域を超えていた。お前があんなに本気になるなんて珍しいな。」
「………僕、そんなに本気に見えた?」
「ああ、憎い相手を殺すような勢いだった……。」
「………。」
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