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「平助、いい加減に出てこい!!」
土方が平助の部屋の前で怒鳴る。
「平助、雛にいいところを見せたかったのは分かるけど相手は総司だぞ。永倉さんか斎藤くらいしかまともに相手できないだろう。」
原田も平助を説得する。
「……俺は雛のことが好きなんだ……。雛に少しでも強い男に見られたかった……なのに自分が情けないよ。」
そこへ永倉と雛がやってきた。
「雛…来たか……。平助のこと何とかしてやれ。総司に手合わせで負けて拗ねてやがる。」
土方がそう言うと雛が部屋の中にいる平助に話しかける。
「平助くん、食事してください。私、今日初めて煮付けを作ってみたんです。平助くんに食べてもらいたいです。」
「……雛が作ったの?」
襖の向こうから平助が尋ねてくる。
「はい。だから部屋から出てきてください。」
平助は部屋の襖を開けると雛の手を引き、雛のことを抱きしめた。
「雛……。」
「平助くん……。」
「雛は総司みたいな強い男が好き?」
「私は、私のことを純粋に愛してくれる人が好きです。私を無条件に愛してくれる人……。」
「……雛、また俺に笑いかけてくれる?」
「また私が笑うようなことをしてくれればいくらでも……。」
そんな二人を見て土方が平助と雛を引き離そうと声を荒げる。
「ああ、もう我慢できねえ!!平助、雛から離れろ!!」
「そうだ!お前ずるいぞ!!雛の笑った顔見れただけじゃなく抱きしめるなんて!!」
「そうだそうだ!!俺にも抱きしめさせろ!!」
左之も永倉も二人に割り込もうとする。
「だめ!!今日は雛は俺のだ!!」
平助は雛を強く抱きしめた。
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