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すると藤堂が部屋に入って来て、これ見よがしに雛を抱きしめる。
そして沖田に向かって言った。
「明日、雛を京の町へ連れて行くよ!今、土方さんに了承を得てきた。雛!俺と一緒に京の町に行こう!!小間物屋や甘味屋にでも行こうか?女の子はそういうところ好きでしょ?」
「本当ですか?本当に京の町に行けるんですか!?」
雛が喜ぶ。
「うん、俺が雛を護衛するから。総司、いいよね?」
平助は沖田に挑発的な目をして言う。
「……勝手にすれば……いちいち僕に確認しなくていいし……。」
「うん、そうする。じゃあ雛、明日雛が洗濯終わったら迎えにいくから。」
「はい。」
「……平助、今日はもう遅いから出て行ってくれない?」
「分かった……おやすみ、雛……。」
平助は雛の手を取り雛のまぶたに口づけをする。
「えっ……」
雛は顔を赤くする。
「雛、かわいい……。じゃあ、また明日!!」
そう言うと平助は部屋を出て行った。
「あの……。」
平助が出て行ったあと、雛は気まずそうにする。
「髪……」
「えっ?」
「髪の毛まだ乾いてないから向こう向いて。」
「もうだいぶ乾いたと思いますけど?」
「まだ濡れてる……。全然乾いてない……。」
「……そうですか?じゃあお願いします。」
その日、沖田はいつもより時間をかけて丁寧に雛の髪を拭いた。
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