京の町でお買い物

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今日は総司と一緒に女中の買い出しの護衛の日だ。 女中のおさよは総司のことが好きらしく、嬉しそうに歩いている。 ある小間物屋の前を通り過ぎようとするとおさよが立ち止まる。 「わあ、綺麗な簪!!沖田さん、私この中でどれが一番似合うと思いますか?」 「……さあ、おさよさんなら何でも似合うと思うけど。」 「えへへ、そうですか?」 その様子を見てお藤が俺に聞いてくる。 「斎藤さん、沖田さんておさよさんの気持ちに気づいているのかしら?」 「さあ、分からん。でも総司は自分のことを好きな女は側に寄せ付けないから気づいてないんじゃないのか?」 そう言いながら総司の方を見ると、ある一つの簪を見つめていた。 それは桜の花があしらわれている簪で繊細な細工がほどこされていた。 「それ、私に似合うと思います?」 おさよが総司に尋ねる。 「え?……うん……。」 するとお藤がそこに口をはさむ。 「おさよさんにはもっと大胆な細工のものが似合うと思うけど……。その簪はおさよさんっていうよりも雛さんに似合うと思うわ。」 ……俺もそう思っていた。総司が見ていた細工の簪は姫川にぴったりだった。 「そんなことありません!私もこういう細工好きなんですよ。沖田さんと趣味が合って嬉しい!!」 おさよがひとり喜んでいるその時…… 「あれ?一くんに総司?」 聞き慣れた声が聞こえた。 声のする方を振り向くと、そこには手をつないでこちらに向かって歩いてくる平助と姫川がいた。
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