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「だって……お前仲間にまで言われてんじゃねぇか。どうせ真っ先に暴れてみんなに迷惑かけてんだろ?」
明日菜は、図星を付かれたのか、黙り込んでしまう。
しかし、星は急に真面目な顔つきになって柘榴を嗜めた。
「あなたに……明日菜のなにがわかるって言うんですか!彼女はこれでも私たちのリーダーとして学園の治安維持に努めているんですよ。……なにも知らないくせに!」
すぐにいつもの調子に戻った明日菜は、笑いながら星を宥めた。
柘榴の方はというと、バツの悪い空気を解消するため、星と明日菜に謝った。
「すまん。空気悪くしちまったな……お前がその風紀委員のリーダーだとはなぁ。三年の先輩とかはいないのかよ?」
「前はいたんだけどね……理由あって、今は私が風紀委員長なのよ。」
彼女達になにがあったのか。今の柘榴には知る由もなかったが、自分と同学年の彼女が急に大人びて見えた。
――俺と同い年なのに、周りを引っ張っていける明日菜はすげぇな。
普段は居眠りばっかりしてるくせに、きっと誰も知らない苦労を乗り越えてここまで来たんだろうな……
「まぁ……気が向いたら明日の放課後、私らに付き合いなさいよ。私の実力をあんたに見せてあげるから……」
「おう。まぁお手並み拝見させてもらうわ……。ところで、そこのちっこいのはどうしてずっと黙ってんだ?」
突然自分の事が話題になり驚いた涼音だったが、すぐに柘榴に向かって毒を吐く。
「家畜と話す口なし……よ」
「……またわけのわからない言葉を話していらっしゃる……」
そこで強引に話題を断ち切った明日菜が柘榴に言った。
「じゃあ。うちらは生徒会室に行って、今のことを報告してくるから……あんたは気を付けて帰りなさいよ」
三人に別れを告げた柘榴は歩き始めた。
「『W.W.W』ねぇ。結局肝心なことはなにも教えてくれなかったような……」
一人言を告げた柘榴だったが、彼はまだ知らない。
この謎の組織に、他ならぬ自分自身が所属することになることを――
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