風紀委員3人に囲まれてるなんて、どんなけ鉄壁なんですかっ!

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 三人を追いかけていた柘榴は、とある部屋の前に来ていた。  他の教室と異なり、廊下側の窓は一つもない。  あるのは金属製の頑丈な扉だけだ。  異質な雰囲気を放つその扉の上に掲げられた『生徒会』という文字が目に付く。  そして、その部屋の前に一人の少年が立っている。  何人も寄せ付けない門番であるかのように両手を組んだ彼を柘榴はどこかで見た記憶があった。  黒いメガネをかけた、いかにもインテリそうな男子生徒を柘榴は知っている。  だが、どこで見たのか思い出せないでいた。  三人の少女たちはその少年の横を通り過ぎると、生徒会室の扉を開く。  なぜ、三人が生徒会室に入っていくのか不明だったが、柘榴もそれに習って彼の横を通り過ぎようとする。  しかし、男子生徒は柘榴の前に立ちはだかった。 「なんだよ。なんで俺だけ入れてくれないんだよ?」 「失礼。ここは関係者以外立ち入り禁止だ」  神経質そうにメガネのズレを中指で押し上げる彼に、柘榴は言い放った。 「だったら、あいつらはいいのかよ。  ってか、あんたは誰なんだよ?」 「……彼女たちは生徒会直属の風紀委員だ。だから問題ないのだよ。 ――それから……僕は生徒会の副会長だ」  副会長。どおりで見覚えがあるはずだ。  月一の全生徒が集まる朝会で、彼が壇上から生徒達に挨拶をしている光景が目に焼き付いていたのだった。  だが、明日菜たちが風紀委員?  確かに彼女は学力は優秀だが、授業中は居眠りをするし、生活態度も決して模範的であるとは思えないのだが……  この学園に存在する姿を見せない生徒会長。  その正体不明の人物が所属する部、生徒会。  当然生徒会室の中には、生徒会長もいるのだろう。  柘榴の知っている噂では、その彼、彼女かも不明である生徒会長の素顔を只一人知る人物。それが副生徒会長だと聴いたことがある。  この眼鏡の先輩がその副生徒会長なのだ。 「ザク。おとなしく帰った方がいいよ」  生徒会室の前で、こちらに振り返った明日菜が言う。 「誰がザクだ。ってか、お前ら生徒会長の姿を見たことがあるのかよ?」 「ないわよ。……実はこの部屋の中にはもう一つ扉があって、その先が生徒会長室になっているんだけど、私たちはその扉越しに話すだけだし――」  そこで、副会長の男が話に割って入った。 「明日菜。それ以上は機密事項だ。えっと君。ザクくん?でいいのかな」 「柘榴」
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