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エラーレポート
送信されたメッセージはお届けできませんでした。
「…嘘だろ」
昨日まで使っていたアドレスなのに。
断りもなしに変えたのか?
俺の膝がガクガク震え出す。
試しに、1度も掛けたことのない、電話番号を指でなぞった。
「……」
機械の女の声が、使われていない番号だ、と俺に告げた。
オデオン座と駅の間を何度も行ったり来たりした。
なんでこんなことになるのか知りたくて、マリエを待ち伏せした。
夜の駅前通りは、どの店のシャッターも閉まっていて、やっているのはコンビニくらい。
俺は、雑誌コーナーのガラス越しに外がよく見える場所を陣取った。
通り過ぎる人々は、皆、帰宅を急いでいる。
疲れを癒すために。
空腹を満たす為に。
家族の元へ。自分の城へ。
目的を持って、帰るべき場所へと進んでゆく人の流れを見ているうちに、自分のしていることが馬鹿馬鹿しくなってきた。
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