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明確だった。
迷惑していたんだ。マリエは。
毎晩のメール。海への誘い。
薔薇の花束も。
それは、俺が嫌いだとかじゃない。
『マリエが、旦那を、
一途に愛しているからだ』
公園に着いたのは、約束の時間を1時間以上過ぎていた。
ブランコに黒い影が座っていた。
「小沢!」
俺は驚いた。
小沢夏美がいた。
夜更けに、こんな灯りが乏しい公園に、1人で。
「ごめん。待ち切れなくて。来ちゃった…」
縋るような目で俺を見る。
「馬鹿!危ねえじゃんか!襲われたらどうするんだよ!着いたら、メールするって言ったじゃんか!」
俺のマジの怒りに、小沢は泣き出してしまった。
「早く…逢いたかったんだもん」
シクシク涙が止まらない。
「怒鳴ってごめん…」
目の前の女が愛しくて、たまらなくなった。
「こんな俺でも…いいわけ?」
俺の問いに小沢は、コクン、とうなづいた。
「藤枝が、いいの」
ストレートな視線で俺を見る。
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