Be My Lover

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再会したのは半年前。 哲也の勤め先【オードリー食品】が入っているオフィスビルの上階にある【ひよどり損保】に私が転職したから。 エレベーターの中で偶然に出会い、あ!ってお互いを指差した。 哲也は山口から東京に赴任していたのだ。 ーーなあ、キミ、鳥越まさみだろ?旭ヶ丘中の! 私をひょいひょいと指差す。そのひょうきんな仕草は昔と変わらず。あの頃はちょいおデブだったのに今はガッチリタイプになってる。 ーーえー、マジか。キレイになったね。 良く透る声で実に屈託のない笑顔を見せてくれたのが嬉しくて。私からラインの交換を申し出た。 それ以来、ちょいちょい連絡取るようになった。哲也との懐かしい思い出話は本当に癒される。 近所にいたカワイイにゃんこの話。小5の時、哲也が迷子になった遠足の話。野球部だった哲也が学年一の美女に告られたものの、わずか一週間後に振られた話… 「ゲス不倫とか言わないでくれる?あんなのただのはずみ!気の迷い、口と口がくっついただけ! もうアレはきっぱり切ったから。ラインもブロックしたし、会社でも私的会話一切しないし。 …それより今日はありがと。 哲也がクリスマスイブに暇人で、本当に私、ラッキー」 「おー、定時であがるのマジ大変だったんだぞ、デートですかとかきかれるしよー。感謝しろよ」 「してるよーありがと、てっちゃん!」 今日はクリスマスイブ&お祝い。わずかな空白時に実に巧妙に仕掛けられた不倫という罠。 それにうっかりハマることなく、大人の対応で切り抜けた自分を褒めてあげたくてこのバーの上階にあるリッチなお部屋を予約した。 クリスマスイプだっちゅうに、そんなお部屋に一人きりで泊まるのは佗しいけど、家で家族と過ごすのもなんだかなって思うし。親友のかなこは先約あるし、哲也が付き合ってくれて本当に嬉しい。ま、哲也はこのあと帰っちゃうんだけど。 「まさみに不倫は似合わないよ。きっぱり止められて良かった」 不倫は似合わない…か。 なんかこのセリフ、胸にズキュンときた。 …哲也が軽蔑もせず、本当に私のこと心配してくれてるのが伝わってきて。優しいな….
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