第3章

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しかし何故男の俺にあんな仕草をするのだ。 東さんにあんな風に見つめられて頬なんて触られたら女性ならきっと惚れるに違いない。 男だが俺ですらどきりとしてしまった。 「ところで…私のお部屋はどこでしょうか?」 玄関でぼーっとしてしまっている俺に東さんは声をかける。 そこで自分の妄想がへんな方向へ走っているのに気付いた。 いかん、これから一緒に暮らす人にドキドキなんてしてはいけない。 慣れるのだ。 ちょっと眩しいが…いや、かなり眩しいがなれるしかない。 「東さんが立っている右側がお部屋です」 あくまで平静を装いながら俺は東さんにお茶を出す用意を始めた。 「このお茶…まずいですね」 一段落した東さんに出したお茶をまずいと言われた。 そこで俺は初めて気付く。 東さんはお茶のプロだったことを… 「す、すいません…」 こんなことならコーヒーにしておけば良かったと思ったのも後の祭り。 「ですが、貴方が入れてくれたのなら私はなんでもいただきます」 「いや、不味いなら無理して飲まなくても…」 そう言うなり一気に飲み干した。 正直全部飲んでくれるならまずいとか言わないで欲しいと思わずにはいられない。 「しかし、バカずやはまた贅沢な部屋を用意してもらったものです。こんないい部屋に私を一度も招待しないなんてあいつはホントにバカずやですね。それにどうしてもっと早く貴方を紹介してくださらなかったのでしょうかね」 「は、はぁ…」 「いえね、私はバカずやが昔から大嫌いなんですよ。あいつは顔はいいかもしれないですが中味ががさつでしょう」 気のせいだろうか…和也の話をするときだけ何故か口調が変わっている気がする。 俺と話すときは気品のある丁寧な言葉なのにそんなに嫌いなのか? 俺には二人は仲良く見えたけど…見間違いか? 。
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