第3章

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チュンチュン チュンチュン… ……チュンチュン? 鳥の鳴き声によって目が覚めた俺は時計を見た。 いつも通り7時17分だ。 目覚ましがなくともいつもこの時間に起きるのは最早長年の癖が染み付いているとしかいいようがない。 何故17分かと言われると俺も分からない。 最初何度も15分とか10分とかきりのいい時間に起きようと挑戦してみたが無駄なあがきだった。 流石に諦めた俺こうしてい今は17分に起きることにしている。 考えてみれば目覚ましいらずで単純な体だ。 そうだ、そんな事を考えている場合ではない。 今の状況がいまいちつかめていないのだ。 確か俺は東さんとリビングで話をしていて…そのあと寝てしまった? 「はっ!!」 俺は勢いよく起き上がった。 「な、なんでベッドで寝ているんだ!?」 まさか… 「私が運びました。気持ちよく寝てしまっていたので起こすのはいささか可愛そうだと思いまして」 朝も爽やかな笑顔で東さんは部屋のドアにもたれ掛かっている。 相変わらずまぶしいぜ… 「す、すいません…昨日多分俺お話の途中で寝てしまいましたよね?」 仮にも寝不足とはいえ二人しかいないのに話している最中に寝てしまうなんて言語道断だ。 「いいんですよ、可愛い拓也さんの寝顔が見れましたし」 「…は?」 「いえ、それより朝はパンとコーヒーでしたよね?準備しますのでお風呂にでも入られたらいかがですか?」 風呂も入らずに寝るとは…なんとも気持ちが悪い。 長年お風呂に入るのは20時と決めていたのに久しぶりに入らずに寝てしまった。 なんだか昨日から俺のリズムが崩れている気がしてならない。 だがなぜだか、いつものように吐き気がするほどの嫌悪感がない。 東さんのこの爽やかな優しいオーラがそうさせているのだろうか… 。
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