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「な、なんで…」
「んな泣きそうな顔すんな、俺お前のソレに弱いんだから」
この世の終わりのような顔でもしているのだろうが…
確かに泣きそうではあるが…
「なんで留学なんて…」
「兄貴がよ、女と駆け落ちしやがって俺に後継げって親父が言い出してさ」
「でも海外に行かなくてもこの大学だって十分じゃねぇかよ…」
「海外で経営学を学んでこいってよ…なぁ拓也俺正直お前と離れんの嫌だったから大分親に反抗してみたんだけどさやっぱ親には勝てねぇ…ごめんな」
分かってる。
分かってるよ。
俺だって親には正直勝てない。
まだ親のすねかじって生きてる子供にすぎないって分かってる。
俺がそうなら和也なんて俺とは比べ物にならないくらいなんだろうな。
そうだよな。
俺がどうこう言える立場じゃないよな。
あー…さようなら俺の同居生活。
「分かったよ…俺も無理言ってごめんな」
「俺はな、お前が心配なんだ」
「いきなりなんだよ、俺だってお前と同い年なんだから1人でだってやっていけるから心配すんなよ」
「そーなんだけどよ、なんてゆーかさ、ほらお拓也って犬みたいに段々愛着わくタイプってゆうかさ…」
「俺は犬じゃねぇ…」
「いや…そうなんだけどよ。なんかほっとけないんだよ。だからさ俺は考えた!」
自分の事を心配すればいいのに和也はさっきから俺の心配ばかりして何を考えてるんだか。
俺だって1人で何でもは出来ないかもしれないけど、ある程度は出来ると思うし、何でみんな同じ事を言うんだ…
確か直人にも同じ事を言われた気が…
そして、この後の和也の発言に俺はこの先生活がお先真っ暗になるのだった。
。
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