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03「ホテル」
◆
アニーは予告どおりまったく泳げないわけではなかったが、異様に遅かった。
結果、ダニエルに捕まって岸まで辿り着くこととなったのだが、その間中ずっと毛並みをいじられ続けて反応に困る。特に喉の下を撫でられた時は力が抜け、沈みそうになったので「やめろ!」と怒鳴ると「ごめんなさい」と返事があって、いじるのは首の後ろ辺りだけで我慢してくれるようになった。
川岸に生えた大きな木の下で休む。俯き、焚き木の番をしていたダニエルは小さな、低い声で尋ねた。
「恐くはないのか?」
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