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「おはようございます。」
「おはよう。」
朝、一日の始まりの挨拶。
私が部長と接する数少ないチャンスだ。
彼は今日も高級感の漂うスーツにセンスのいいネクタイ、革靴の音を響かせて、まさに大人の男性の理想像で現れた。
私が密かに想いを寄せるのは会社でも有名な鬼部長。
鬼の西島。
会社ではいつだって無表情で、部長の視線を浴びると誰だって一瞬で緊張しちゃう。
彼は総務部と経理部を兼任している部長職。
総務部の大きなフロアに経理部だけが特別に仕切られた一角に存在する。
経理部は人数も限られた、少し特殊な部署だった。
経理部は総務部の情報を共有することが出来るが、私たち総務部は経理部の情報は一切触れることができない。
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