【もうひとつの切ない恋】１．憧れ

憧れ

私は部長と挨拶を交わした後、他の人には知られないように部長の背中を短い視線で追いかける。

部長はいつもどおりに経理部のデスクについて、先に来ていた室井さんが部長に挨拶をしていた。

私はリレーのバトンのように、今度は自分の視線を部長の背中から室井さんに移す。

色白で目がパッチリしてて、少し茶色がかったふわふわのロングパーマ。今日はそれをハーフアップにまとめていた。

どこで買い物をしてるのか、いつも女らしいブラウスにスカートで、いろんな組み合わせでいつも素敵に着こなしている。

ロングヘアも短すぎない品のいいスカートも、全部あのスタイルだから似合うんだよね。

……私なんかとは大違い。