◇◇◇

3/56
前へ
/60ページ
次へ
お袋は数年前から肝臓を患っていて、3・4ヶ月に一回は入院していたと聞いた。持ってあと3年くらいだと親父の方は医者に聞かされたらしい。 それでも亡くなる直前までは、検査結果の数値も良好で、あと5年は大丈夫だと言われていた。 なのに、そう診断されて一週間後に、お袋は死んだ。 肝臓から出血して、1日くらいは頑張ってくれたけど、駄目だった。 俺が知らせを受けたのは、本格的にヤバイという時で、けれどいつもの癖で、仕事中だったから、電話を取らなかった。 連絡が取れたのはそれから数時間後で、ひとまずお袋の容態が落ち着いた夜のことだった。 あと1日は大丈夫だろうという親父の言葉を信じて、朝一で向かうと言い早めに床に着いた。 大丈夫だと自分に言い聞かせ、無宗教なのに神様に祈り、無理矢理寝た。 ところが、目が覚めると携帯に着信があった。 親父からだった。 留守電は無言だったけど、むしろそれで全てを悟った。 お袋か亡くなったと。 俺は、間に合わなかったんだ、と…。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加