鬼の飼い猫

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さっさと話してさっさと終わらせよう。 そう思って単刀直入に会話を切り出したのに、じっと私を見つめたそいつは、唇を緩やかに上げてさも楽しげに言った。 「自分、もしかして高いとこ怖かったりするん?」 ほんの少し背の低いそいつが顎を引いて笑うと、自然と上目になって更に嫌らしさが増す。 一番知られたくない相手にずばり言い当てられ、思わず顔が歪んだ。 こいつといると、ずっと眉間に力が入っている気がする。 きっと今日一日で私の眉間には深い溝がくっきりと刻まれてしまったに違いない。 「……別に。それよりさっさと答え」 「ほれ」 「わぁ!?」 これ以上突っ込まれたくなくて素早く話を元に戻したのに、真顔のそいつに胸元をつんと突かれて、これまた頼りない声が零れた。 目の前にあった腕を必死に掴んでしまったのは落ちたくないという本能だ。 「やっぱり怖いんやん」 遊ばれてる……! 喉の奥でくつくつと笑うこの垂れ目男を今すぐ殴り倒してやりたいのに出来ない自分が恨めしい。 「よしよし、しゃあないなぁ」 「っ、何を」 「ええから大人しゅうしとき」 すっかり固まって動けなくなった私は、再び山崎に抱えられて屋根の棟へと座らされた。 むぅ……この上ない屈辱です……。 「……ぷっ、まんまる」
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