第一章 転校生は王道か

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------------------------------ 翌朝。 現在時刻7時半。俺は今、校門(とは言い難い馬鹿でかい門)の脇の茂みに隠れている。勿論、転校生とイベントを見るためですがなにか? 転校生イベントの始まりと言えば!やっぱり生徒会副会長のお迎えイベントですよね!! てな訳で漸くして、校門の外に現れた影。 「キタキタキタ―――!!!」 と声を潜めてはいるが、興奮は抑えられない。口元を必死に手で押さえ、声を抑えた。 そこに現れたのは、ボサボサの黒髪に瓶底眼鏡。これぞまさしく 王 道 転 校 生 !! そして校舎の方からも人影が。勿論現れたのは腹黒眼鏡の黒髪美人、副会長 冬寺 雪人である。 「きったぁぁぁぁあああああああ!!!」 そして俺のテンションは最高潮。言っておくが声は潜めている。バレちゃ堪んないんでね。 副会長は笑みを貼り付け校門に近付く。しかし門の前に着いた時には転校生は消えていた。 ――てことはつまり! 『~~~っ!!』 何を言っているかは聞き取れないが、声の高さからして転校生だろう。その声は副会長の頭上辺りから聞こえてきた。転校生は馬鹿デカいこの門を飛び越えてきたのだ。 そして転校生の着地点には副会長。副会長はそのまま転校生の下敷きになった。 『~~!~~~~!!』 『…―――』 何言ってるか全く分からないが、転校生が大声で何か言っているのだろうということは分かった。転校生無駄に声でかいな。 『~~、~~~!!』 『っ!!!』 転校生が何か言ったあと、副会長は固まった。 多分これはあれだ、 『お前、その嘘くさい笑顔やめろよな!』とか言われて、『……これに気が付いたのは貴方が初めてです。』からの『気に入りました』っていう展開ですね、分かります!! …まあ副会長の胡散臭い作り笑いなんて皆気付いてるけどね。
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