第一章 転校生は王道か

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脳内で2人の会話を勝手に補完していると、副会長は徐ろに転校生に顔を近付け ―――唇を重ねた。 ktkrrrrrrrrrrrrr!!!!!!! 興奮の余り叫びたい衝動を何とか抑える。やばい、流石王道。萌え滾るぜ!! 『―――!』 転校生が何すんだよ!的な感じのことを叫び、副会長を殴……いや、蹴りあげるのを見て、俺は思わず手で股間を覆った。 いくらなんでもあれは……そこは痛いだろ…… 痛みで痙攣する副会長に、俺は同情した。いやぁ……だって、ねえ? 転校生は地面に蹲る副会長を放置し校舎へと歩き出す。 数歩歩いてからふと振り返った。瓶底眼鏡によって視線が向いている場所は分かり辛いが…多分、俺の方を見ている。これは…まさか腐ラグ? ―――やっちまった…… しかし予想に反して転校生は俺に絡むことなく、素通りしていった。見えていなかったのか、無視したのかはよく分からないがとりあえず助かった。 転校生が校舎に入るのを見届けて、俺は教室へと向かった。 * * * * 俺は転校生が王道であると信じてやまなかった。 瓶底眼鏡の下に確実に俺を捉えていたことも、 それを見て鼻で笑っていたことも、 この時、俺はまだ知る由もなかった。 なんてね
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