108人が本棚に入れています
本棚に追加
脳内で2人の会話を勝手に補完していると、副会長は徐ろに転校生に顔を近付け
―――唇を重ねた。
ktkrrrrrrrrrrrrr!!!!!!!
興奮の余り叫びたい衝動を何とか抑える。やばい、流石王道。萌え滾るぜ!!
『―――!』
転校生が何すんだよ!的な感じのことを叫び、副会長を殴……いや、蹴りあげるのを見て、俺は思わず手で股間を覆った。
いくらなんでもあれは……そこは痛いだろ……
痛みで痙攣する副会長に、俺は同情した。いやぁ……だって、ねえ?
転校生は地面に蹲る副会長を放置し校舎へと歩き出す。
数歩歩いてからふと振り返った。瓶底眼鏡によって視線が向いている場所は分かり辛いが…多分、俺の方を見ている。これは…まさか腐ラグ?
―――やっちまった……
しかし予想に反して転校生は俺に絡むことなく、素通りしていった。見えていなかったのか、無視したのかはよく分からないがとりあえず助かった。
転校生が校舎に入るのを見届けて、俺は教室へと向かった。
* * * *
俺は転校生が王道であると信じてやまなかった。
瓶底眼鏡の下に確実に俺を捉えていたことも、
それを見て鼻で笑っていたことも、
この時、俺はまだ知る由もなかった。
なんてね
最初のコメントを投稿しよう!