第一章 転校生は王道か

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教室に着いたのはHR開始のチャイムとほぼ同時だった。 この学校、敷地が広い。広すぎる…… 校門から走って10分以上ってどんだけだよ…… ただ、幸い担任のホストはまだ来ていなかった。 席に座って息を整えていると、宏文が声を掛けてきた。 「はよー。珍しいね、太一がこんなギリギリだなんて。どうしたの?」 「そりゃあ、転校生校門イベントwith副会長は見逃せんだろ!!」 「うわ、聞かなきゃよかった……」 俺のガラスのハートに突き刺さるような冷たい視線、本当にありがとうございます。べ、別に傷付いてなんかないんだからね! ……自分でやってて悲しくなってきたわ。 漸く宏文と共に雑談していると、扉が開く音と共に茶色い歓声。ホスト教師のご登場ですわ。毎朝これやんなきゃダメな訳? 「今日から転校生がこのクラスに来た。てな訳で明(アキラ)、入って来い。」 早速名前呼びイベント達成とかwwwwwwホントにありがとうございますwwwwwwww 『転校生どんな人かな?』『イケメンだったらいいな』『可愛い子がいい』 女子か!お前ら女子か!!女子力高すぎだよ、なんなのお前らwwwwww 脳内で草生やして発狂していると、転校生が入ってきた。クラスメイトたちは転校生の姿を見るなり、 『何あのもじゃもじゃ!!』『いやああ!キモい!』『帰れ!!毬藻!!!!』 などと罵詈雑言、悲鳴をあげた。 まあ 、ボサボサ鬘に瓶底眼鏡だし。てか鬘だってこうも分からんもんなのかね。どう見ても鬘だろ。 「俺、仙道 明!今日からよろしくな!」 転校生の自己紹介にも返って来るのは罵声のみ。あの鬘と瓶底眼鏡の下はめちゃくそ可愛いのにね、多分。
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