第一章 転校生は王道か

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そんなこんなで転校生君を連れて寮に向かう。何か隣でギャースカ言ってるけど、へーとかそうなんだーとか言って適当に流す。王道転校生面倒くせぇ…… 校舎を出て寮へ続く道を歩いていると次第に人が少なくなる。それと同時に転校生君の口数が減っていく。適当な返事しかしない俺に飽きたのか。転校生はふあぁっと大きく欠伸をした。俺はそこに妙に引っ掛かった。なんだか王道らしくない。いや、俺にとっちゃいいことかもしれんが。 漸くして寮部屋に到着。 「ここが俺達の部屋な。ここは共同スペース。要はリビングだ。んで、こっちが俺の部屋でそっちがお前の部屋。荷物は適当に中運んでおいたから。」 「おう。ありがと!」 そう言って転校生君は部屋に引っ込んだ。結構構えていたのだが、なんとも拍子抜けだ。 それから数分して、部屋のチャイムがなった。因みにこの寮には各部屋ごとにチャイムが付いている。とても学生寮とは思えないよな… 扉を開けるとそこには豊が立っていた。豊に手招きされ、部屋の外の廊下に出る。 「あれ、どしたん?」 「いや、特に用はないんだが、あの転校生に構うだけでお前疲れてそうだから夕飯持ってきた。」 「あんたが神か!」 流石、豊さん。惚れ惚れしちゃうよね! 「死ね」 ……どうやら口に出ていたようだ。 にしても冷たくね? 「……んで、転校生どうだ?」 「教室じゃ煩かったけど部屋じゃそうでもない」 「そうか。まあ何かあったら言ってくれ。」 「おう。サンキュな!」 俺に夕飯の入った袋を手渡し、豊は部屋に戻った。とは言っても、部屋自体隣なんだが。
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