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「なぁ、宏文。そろそろ来てもいい時期だと思うんだ。王道転校生。」
「知らないよ。」
この学園に入学してから2度目の5月。俺、長谷部 太一はクラスメイトの飯田 宏文と王道転校生について話して……
「中途半端なこの時期にやって来る転校生。ボサボサの鬘と瓶底眼鏡を付け、副会長、会長、チャラ男とワンコを次々と落とし、そして学園中を巻き混んd」
「ごめん、全然興味ない」
「ひどいわ!」
正確には一方的に王道転校生について語っていた。
俺の通うこの学園―私立森ノ宮学園―は初等部から大学までエスカレーター式で金持ちばかり通う所謂お坊ちゃま学園。中・高等部は男女別に別れていて、全寮制。御曹司ばかりが通うこの学園、万が一のことがあってはならないという意味で男子校と女子校に別れているが、特に男子校は性欲盛んな思春期真っ盛りの男の園。恋愛、性欲の対象が同性、要はホモばっかの学園である。
ここまで言えば腐のつく人は何となく分かるかもしれないが、ここは所謂王道学園。イケメン揃いで族をやっている生徒会に、それに敵対する族の風紀委員会。そして親衛隊なるものが存在する腐のつく人がわっふるわっふるする学園なのだ。
かくいう俺もれっきとしたヲタク腐男子である。一般家庭出身の俺は、必死に勉強して特待生として高等部から入学した。もちろん萌えを拝みたいがためさ!
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