第一章 転校生は王道か

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せっかく傍観者に徹しようと思っていたのにこの仕打ち。王道転校生は関わると面倒だから遠巻きに眺めているつもりだったのだが、同室となれば関わるのは避けられない。俺にフラグなんて建てられたら冗談じゃないぞ。 1人落ち込んでいると気付いたら既にホームルームは終わっていて、ホストはいなくなっていた。ぽん、と肩に手を置かれ、その手の主を見上げると、同情の眼差しを送る豊さんと目があった。 「まあ、ドンマイ。部屋の片付けくらい手伝ってやるよ。」 「…おう」 さすが豊さん、オカン属性っすわ。 「それと、姉曰くの腐男子総受けフラグだな」 「やめろぉぉぉおお」 豊さんのお姉さまは俺と同士の貴腐人である。去年の夏、大石家にお邪魔した際仲良くなった。しかし好物は腐男子受けと言うから怖い。 ちくせう!久々に語り合おうと思っていたのに俺がネタにされてしまうではないか。 「ふっ、馬鹿だな豊。同室になったくらいじゃフラグとは言えないのだよ!」 「別に然程興味ない」 「ひどい!」 自分から振っといてこの仕打ち!オカン鬼畜!鬼畜攻めなんですかね!? そんな事を妄想しているとも知らず、豊は涼しい顔をして教室を去った。 って、去っただと!?次移動教室!!置いて行かれた! 俺のガラスのハートにまた一つ傷がついた。
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