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夜には片付けは終わり、転校生の荷物が送られてきて、折角綺麗にした部屋はまたもやダンボールだらけの物置のようになった。
「綺麗にしたのに何この勿体無い感。」
「最初よりよっぽど綺麗だから。」
まあ流石はオカン。掃除する姿はさながら主夫のようでしたよ。
先程から空気と化している宏文は……なんと、寝ていた。
「なあ豊、この子いつの間に寝てたのさ。」
「転校生の荷物運ばれてきた当たりじゃないか?」
そう言ってソファーで眠る宏文の髪を撫でる豊さん。「ヒロ、起きろー」なんて優しげな声で呼んでいた。お前らもう結婚しろよ。
時計を見上げるともう8時を回っていた。夕食をまだ食べてない。
食堂でもいいのだが、何と言ってもお坊ちゃま校。あそこは無駄に高い。
「という訳でお母さん、夕飯くれさい」
「どういう訳だか分からんけどもうこんな時間か。適当に冷蔵庫の中身使っていいなら。」
「さっすがオカン!お願いします!」
俺も自炊出来ないこともないが、やっぱりオカンのご飯が一番だよね!ということで大抵2人の部屋にお邪魔して貰いに行っている。
てか待てよ……?転校生来たらそうもいかなくなるんじゃね?
「そんなのやだよ、ママ。俺ママのご飯が1番いい!」
「誰がママだ!そういえば転校生がお前の言う王道とやらだったら夕飯たかりに来るなよ。余計なの連れて来そうだから。」
「んな殺生な!」
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