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「……あ、あの、出席者はこれだけ?」
「そうなの。少ないでしょ。」
「お盆休みだから、もっと集まるかと思ってた。」
「まぁ良いじゃない。
そんなことより、あっちで話しましょ。」
岡本さんに連れられて私はみんなの集まっているテーブルに着いた。
「お、おひさしぶりです。
私、旧姓本田…今は、吉川操です。」
「夏休みの頃から登校拒否してた子だよね。」
「え、えぇ、まぁ…」
いやなことを指摘してくれたのは、私よりずいぶん若く見える男性だった。
「二宮君は本当にデリカシーがないんだから。」
そう言ってくれたのは、ぽっちゃりとした女性。
誰だったかと考えてると、その気持ちを感じとったのか、女性は自己紹介をしてくれた。
「私は大内早苗、二宮君と私は隣の3組だったの。
それから宮脇さん、野村さん、高橋君は1組。」
「私達は4組よ。」
隣にいた男性を指し示し、全く見覚えのない女性が口を挟んだ。
「え…今日は2組だけの同窓会じゃないんですか?」
大内さんは頷いた。
3年生全体で、出席者がたったこれだけとは…
やはり、日程が悪かったのかもしれない。
幹事は休みだから良いと思ったのかもしれないけど、こういう時期は、やはり皆それなりに忙しいのかも……
だけど、人が少ないことが私には却って良かった。
それと、同じクラスじゃない人達も一緒っていうのが却って良かったのかもしれない。
思った程緊張せずにみんなと話せて、久々にお酒も飲んだし、気にしていた私のプライベートな部分についても聞く者はいなかったし、他愛ない話に花を咲かせて心の底から楽しいと思える時を過ごせた。
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