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そう言って湊くんを見上げると湊くんの目からは一筋の涙が零れていた。
え……泣いてるの…?湊くん。
「湊くん、泣いてるの?」
「…っ」
湊くんは驚いたように自分の目から流れた一筋の涙をグッと拭った。
「ごめんね!湊くん、あたしったら変なことを…」
「いや、そんなことはない」
すごく穏やかな表情で声で湊くんは呟いた。
「自分のやったことが間違いじゃなかったんだって思えた」
「…うん、間違ってなんかないよ。大丈夫」
あたしたちはそのまま無言で歩いていた。
無言だったけど嫌な空気ではなくて、すごく心地いいものだった。
「あれ……」
"白虎"本部にたどり着くと倉庫の前に全員集まっていた。
涼くんをはじめ、琉夏くんも隼汰くんも梓くんもみんな外に出ている。
そしてその中にたった1人だけ女の子が紛れていた。
その子が一体誰なのか、考えるよりも先に心が反応している。
「真子さん……」
歩きながら呟いたその言葉が真子さんに聞こえていたのか、彼女はゆっくりと振り返った。
「みっくん!おとちゃん!」
「遅かったな、湊。頼まれてたことはやったぜ」
「悪いな」
本部の外に全員が揃っている。
真子さんは不機嫌そうにあたしを見つめてすぐに、湊くんに視線を移した。
「湊、どうしたの?」
「話がある」
「…話?」
「……全部聞いたぞ」
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