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だから真子さんを許すことはできない。
それに、湊くんや千尋だけじゃなくて涼くんたちやいろんな人を騙したことだって許せないんだ。
「もうこれ以上湊くんを苦しめないでよ!もう…十分だよ…!」
一気に全ての感情を吐き出したせいで微かに息が上がる。
シーンと静まり返る辺り。
しまった……あたしとしたことが何をしちゃってるんだ!
冷静になって今更恥ずかしくなってきた。
何も知らないのに偉そうなことばっか言っちゃったよ。
しまった……どうしよう。
「偉そうなことばかり言わないでよ!あんたのことなんて、湊はなんとも思ってないんだから!」
「……っ!」
「どうせあんたの存在なんてあたしの身代わりでしかないんだよ!」
グサグサと言葉という名の刃物があたしの心に深く突き刺さってくる。
鋭く鋭利な刃物の先端があたしの心を深く抉っていった。
痛い、胸が心が悲鳴を上げてる。
涙が出そうだ、でも泣いちゃいけない。
前に柊さんにも言われたっけ?
あたしは所詮真子さんの身代わりでしかないんだって。
やっぱりそうなのかな、あたしは千尋から守れなかったと思っていた真子さんの代わりなのかな。
さっきまでの威勢はどこにいったのか、あたしは唇を噛み締めたまま下を見るしかなかった。
「それ以上言ったら許さねえぞ」
「え……」
「俺は身代わりだなんて思ってない」
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