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たとえ湊くんがどんな答えを出そうともあたしの意思は変わらない。
「"朱雀"ではゆっくりしていっていいからね」
「うん。ありがとう」
湊くんがわざわざ蓮くんにあたしをお願いしてくれたことは嬉しかった。
そして、迎えに行くと言ったくれたこともすごく嬉しい。
今日はあたしが初めて怒った日だった。
何かが少しずつ変わろうとしてる。
正直不安じゃないわけじゃない。
湊くんがどんな答えを出すか分からないし、何も言わなかった涼くんたちが何を考えているのかも。
琉夏くんの中では真子さんはいい印象で通っていたけど、健太先輩の話からするとそれさえも嘘だったということになる。
真子さんのあの優しい笑顔で柔らかい雰囲気で、優しく包み込んでくれた湊くんを騙し、仲良くしてくれた涼くんたちをも騙したんだ。
一体なんのために?どうしてその道を選んだの?
聞きたいことはたくさんあったし、あたしもできれば話を聞いていたかった。
でも、あたしは湊くんの考えを邪魔したくない。
あたしはみんなを信じて待ってればいいんだ。
ただ、それだけで。
だけど、どうしても真子さんのことだけは許せそうにはなかった。
「優しいね、君は」
自分の世界に完全に入り込んでいたあたしは、蓮くんのそんな呟きには気づかなかった。
今日は長くて濃い1日になりそうだよ…。
そんなことを思いつつあたしは車の中から流れる空を見上げた。
それは暑さの激しい晴天のことだった。
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