春の港の風のような

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「白石真子だよ」 「ふーん」 大して興味みもなさそうに彼はまた伏せてしまった。 そんな彼にあたしは性懲りもなく話しかけてみる。 「毎日ここにいるの?」 「うん」 「どうして?」 「落ち着くから」 「そっか」 短くて淡々とした返事だけど、これが真島くんなんだろう。 「明日も来ていい?」 「…別に」 嫌とは言わないと言うことは多分いいってことなんだろう。 あたしは次の日も音楽室に向かうことにした。 次の日もやっぱり彼はグランドピアノに伏せていた。 「こんにちは」 「うん」 真島くんはすごく綺麗な顔をしてるけどすごく無表情。 話してても表情1つ変えやしない。 「ずっと1人で暇じゃないの?」 「暇じゃない。昼寝できるから」 「そっか。邪魔だったら言ってね」 真島くんと話してるとすごく落ち着く。 それはなぜだか分からないけど、すごく安心するんだ。 真島くんはグランドピアノで伏せて寝ていて、あたしはイスに座って本を読む。 それが日課になりつつあった。
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