春の港の風のような

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そうすることを繰り返すうちにいつの間にか2週間が経った。 2週間も毎日同じことを繰り返しているとさすがに慣れてきたのか、真島くんも少しだけ心を開いてくれるようになったのが分かる。 この2週間で真島くん自身のことが少しだけ分かった。 甘いものが大好きでいつもボーッとしてる。 話してる間はたまに笑ってくれるって。 真島くんは今まであたしが出会った男の子たちとは全然違った。 「その飴美味しい?」 「うん。アップルパイの味がする」 真島くんはいつも見たことのないような甘いものを持っている。 それを食べてる時が1番幸せそうな顔をするんだよね。 「毎日食べてて太らない?」 「太らない」 「羨ましいな」 「でも、いつも止められるんだ」 そう言って真島くんは小さく笑った。 こうやって彼が笑うことはすごく珍しい。 「止められるって誰に?」 「涼。あとは違う学校の隼汰」 涼くんとは確か同じ学校の真島くんと仲の良い子だったよね。 2人の話をする真島くんの目はすごく優しくて、本当に大事に想っていることが伝わってきた。 「あいつら2人は口うるさい。甘いものを食べすぎるのはよくないって」 そう言われる真島くんもきっと嫌ではないんだと思う。 だってそう言ってくれるのは、真島くんのことを想ってるからこそだもん。 だからそんな風に友達に心配される真島くんがすごく羨ましい。
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