春の港の風のような

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湊がいながらあたしは不安だからこうして1人何かを求めてるんだ。 そしてある日、あたしはある人に出会う。 それは龍崎輝という1人の男で、なんとも言えない不思議な空気をまとう人物だ。 湊よりも年上で大人っぽい彼にいつの間にかあたしは溺れていった。 あたしは最低な人間だ。 湊という彼氏がいながらこうして別の男の人と逢っている。 そしてとうとうあたしはもう2度と戻れない道まで来てしまった。 彼と身体を重ねてしまったのだ。 彼は湊とは違って望めばキスもしてくれるし、身体を何度も重ねてくれる。 あたしはみるみるうちに龍崎輝という男の人に夢中になっていった。 愛されている感覚がする、湊とは違う愛し方があるのだと今知ったんだ。 もう戻れない、あたしはもう2度と戻れない所で来てしまっていた。 ある日、あたしは初めて輝さんから湊や千尋さんの名前を聞いた。 彼からお願いされたことはたった1つ。 彼らに近づき、2人の関係をあやふやにすること。 本来なら湊を裏切るようなことしちゃいけないはずなのに、既に輝さんに溺れていたあたしは迷うことなくそれを実行する決意をした。 あたしの気持ちの変化に湊は気づいているのかそれは分からないけど、湊は変わらずあたしを大切にしてくれている。 だけど、今のあたしはもう湊が与えてくれるような穏やかな愛じゃ物足りなくなっていた。 もっと恋焦がれるような激しく熱い恋じゃなきゃ、あたしは満たされない。 「真子、どうかしたのか」 「ううん、どうもしてないよ」
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