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……と、そんな出来事があってから、俺の見る世界には、ちらほらと妖達が映る様になったのだ。絵筆曰く、「元々うちらは霊体としての質量がかなりでかいんや。だからほんの少し霊感がある程度でも見えるし、そもそも一回妖、つまりうちらと接触した時点で宗灼の身体の構造は妖が見えるように改変されるから、お前はもう一生霊どもから離れられんよ。」とのこと。
ちなみに、その後絵筆とは「うちのパートナー奪ったんやから、責任取れ!」みたいなやり取りを経て、一緒に住んでいる。
「ん………絵、筆……ん?」
パチリ。目を開くと、見慣れた天井。
まさかの夢だよ…
夢でプロローグを語れるとは、なんて便利な身体だ…
そして、横を見ると、
「しょ、宗灼、お前夢でうちの名前呼ぶとか…」
真っ赤になっている妖が一匹。
「よう絵筆、勝手に他人の布団に潜り込んどいて何言ってんだよ。自業自得って諺は知ってるよな?」
「うるさい!どうせ思春期丸出しの夢だったんやろ!?現実で手出す位の度胸見せてみんかい!」
トマトみたいな顔して言われても、嗜虐心しか湧いて来ないよ…
「うるさいうるさーい!本気出したうちには手も足も出ない癖にー!」
心を読まれた!?妖としての能力出してきやがったよ…
「わかったよ。悪かったって。」
「わかってくれたらええねん。」
…………あれ?
何故俺は謝っているのだろう?
絵筆が勝手に暴走しているだけじゃん…
「ちっ、気づきおった…」
ちっ、じゃねえよ…
「まぁ、早よせんと、遅刻するで?いつもより10分は遅いやん。朝飯はもう出来とるからな~。」
「おう!?サンキュー絵筆!助かった!」
もうそんな時間かよ!?絵筆のサポートが無かったら遅刻確定じゃん!
てか、既に朝飯作っておいてくれたのなら、何故また俺の布団に…?
「おう!どうせならこの機会にもっと有難がって欲しいけどな~。」
まぁ我慢するわ、と言って絵筆は立ち上がる。
「まぁ、今日も元気でやって来いよ!」
「おう!」
隣をふわふわと漂う絵筆と共に、美味そうな匂いだな、と独りごちながら階段を降りる。
さぁ、今日を始めようか。
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