絵筆のお願い

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「しっかし、食わなくて良いってのも便利だなー。こういう時に時間の浪費をしなくて済む。」 例のプロローグの夢を見てから数日後の食卓。 休日というのもあって、ゆっくりできる……かと思ったら、絵筆から、 「ちょっと気になるものがあるから、宗灼も付いて来てくれへん?そろそろ目を逸らすのも限界になって来たやろ。」 と、お誘いが来たのだ。休む暇も無いとはこの事だな。 目を逸らす……おそらく、妖関係の事だろう。 「この目の感度も確かに上がってきてるからな…お前の『心』が馴染んだのか?絵筆。」 と訊くと絵筆は、 「なんや、そんな昔の事まだ覚えとったん?まぁ、うちはあの時確かに宗灼に『心』を渡したけども、お前にあげた訳や無いで?馴染むも何も、まだ同化してすらいないんよ。こっちから強制的にコネクティングしてるだけ。」 ーだから、うちがお前に何かする事はあっても、その『心』がお前に何かする事はまず無いよー と、絵筆は自信満々に言い切った。 「成る程な。じゃあ、何でだ?俺には思い当たる節が全く無いんだが。」 「さぁな。元々人間には、魂を収める為の器がある。うちの心が無理矢理コネクトした所為で、強制的にそれが広げられとるのかもな。」 ふむ、さっぱり分からない。…が、 「言葉の端々からいかにもやばそうな雰囲気がぷんぷん漂って来るのは何でだ?」 「気のせいやろ。」 実際、やばい訳ではないしー、と、絵筆は続けた。
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