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―《バチバチバチッ。ゴォォォォォォッ。》―
「ひぃぃぃぃ。炎だぁ。炎がぁぁ!」
「うわぁぁ!火事だぁ。工場の中が火事になったぁぁ。助けてくれぇ。早く、早く外に出ないと。」
暗闇の中、田舎の田園地帯の真ん中にひっそりと建つ従業50人程度の古ぼけた工場。
田舎町からはかなり外れに位置するこの場所で、周りに気付かれないように静かに...そして凄まじいスピードで炎は瞬く間にその古ぼけた工場をのみ込み、次々と人の命をも呑み込んでいったーー。
「ぎゃあぁぁぁ!あちぃ。あちぃよ。助けてくれぇぇ。」
「開かねぇ。駄目だ。開かねぇよ。ひぃぃぃぃぃ。」
「いやぁ。死にたくない。死にたくなぁいぃぃぃ。」
小さな古ぼけた工場のドアは開かなくなり、やがて工場内には一酸化炭素が充満し始め、何人もの人影が膝から崩れ落ちていった。肌が焼き芋のように焼けただれ次第に大きな炭の塊に変わっていった。
その様子を外から足をガクガクさせ震えて見ていた者が三人いた。
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