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「ねえ君は─」
「──だあぁぁっ、うるさいな!俺はスポーツなんてしてねえし、影が薄いのは知らねえし、紗夜とは幼なじみで、この髪は天然だ!」
「そうなのか~」
さすがに我慢の限界だった。こいつはどこまで着いて来るつもりなんだよ!まあ途中から諦めて、いろいろと手伝ってもらってたけど………。というか質問がうるさい。
「はい、ありがとう」
「いいからいいから!このくらいの荷物、わたしのことは気にせず!」
「それはお前が軽いものだけ入れたからだろう」
「何言ってるのかな?わたしは女の子だよ、君には軽くてもわたしには重いんだよ!」
「そうですか………」
どうするかな。もうすぐ家に着く、なんとかして荷物を取り戻さないと。こいつ家まで着いて来るつもりだろう。
「ところで、わたしは荷物持ったままたくさん歩いて、疲れちゃったよ。あ~あと喉が渇いたよ!」
「あっそ、ちょっと待ってろ」
「むふふん、ありがとう!」
近くにあった自動販売機に行き、ジュースを買って上代 波鈴に渡す。さり気なく荷物を受け取って、よし逃げよう。
「ああぁぁーっ待ってよ!!」
「また明日、学校でな!」
走りながら上代 波鈴に手を振る。これでようやく家に帰れるな!明日学校で何か言ってくるだろうが、どうでもいい。
「遅くなったな、晩飯は簡単に済ませっ。………ん?」
「アナタ、どうした、何をするつもりっ!?」
日が暮れかけた時、路地の奥から荒々しい殺気を感じて立ち止まると女性の震える声が聞こえた。まさか殺人とか?
「大丈夫ですかぁ………?」
「た、助けてっ殺される!」
黒髪の白衣を着た女性が怯えた様子で俺に手を伸ばす。俺はとんでもない場面に直面してるんじゃないのか?
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