試練の始まり

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「そうそうタツキ、あなたセイラちゃんをどうするの?私としては─」 「──適当に終わらせたいか?………クラン、昨日わざと正羅の暴走をそのままにしたな?リンクを切って、燐火が暴走しないようにしたすると、正羅が暴走するのはわかってたんだろう」 「ご名答!流石タッキー!武器変化がセイラちゃんに出来ないのは知ってたわ。武器変化をすれば魔力が不安定になって暴走する。暴走するとどの程度の力か見てみたかったのよ。でも、まさか手を切り落として暴走を止めるなんてね!これもタツキの教えがいいからかしら?だけど、いつか呑まれるわよ」 口元を緩ませて微笑むクランさんに、燵姫は下ろしてる手を握り締めてクランさんを睨み、笑った。するとサリル先生まで笑いだした。 「サリル先生、昨日の暴走はどのくらいの規模だ?」 「ここの庭を消し去る程度ですよ!」 「だろうな。良かったなクラン!あいつが本当に暴走したなら………。なあ、サリル先生?」 「はい!………ですが高我君は決して我を失いません!」 「だけど、いつかは完全に暴走するわよ!」 燵姫とサリル先生の答えを聞いて、クランさんも微笑む。そして燵姫は俺の出て行った扉を見て、堂々とした声で言う。 「知ってるよ。正羅は暴走する、だが力を使いこなすんだよ。あたしの息子を舐めるなよ」 「うふふっ面白い母親達です!試練は同時に始まってます。あなた達に私の名前を一つ伝えましょう」 「なんだ、やっぱりもう一つ隠したかった名前があるのか?」 その言葉で真剣な表情になった燵姫とクランさんは、サリル先生の口から出た一つの名前を聞いて唖然とした。 「普通の名前だな」 「普通の名前ね」 「だから、私は普通の教師ですよ!お二人の疑いの眼差しが怖いんです。これで信用してもらえますか!」 サリル先生が実は燵姫とクランさんの眼差しに怯えていたことを涙目で告白してから数時間後。 空は暗くなり星が輝き月が照らす夜。 燐火の寝室でベッドの中で背中合わせに寝ていた。
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