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「ミヤネさんってよく一年間、学園に乗り込んで来なかったよな?」
「それはそうよ。学園に乗り込んだら私の部屋を出入り禁止にして、十年間私に接近禁止にするって言ったもの」
「ミヤネさんにとっては脅迫されたようなものだろうな。………なあ燐火、お前は結婚の話しどう思ってるんだ?」
クランさんから聞かされた時は燐火と結婚しようとする人がいたことに驚いたけど。なんだか、考えてるとモヤモヤしてくるんだよな。この気持ちはなんだ?
「絶対に嫌よ!この国の王だか知らないけど、あんな奴と誰が結婚なんて!」
「どんな奴なんだ?」
「どんな奴って。黒髪で眼光が鋭くて逞しくて、王って感じの人よ」
「よくわからねえ………」
「いいわよ、わからなくたって」
「お前、自分の国の王なのに知らないのかよ?」
「名前なら知ってるわよ。〔アルム・ルーラン・レストニア〕………だったかしら?」
曖昧じゃねえか………。燐火に名前を覚えられてないって大丈夫なのかよ?ちゃんとした王なんだよな?
「一年前に前王が殺されて王になったばかりだったはずよ。私、アルム王って嫌いなのよね」
「そういえば、前に王族が嫌いとか言ってたよな?」
「アルム王は前王よりマシだけど、結局他の王族や貴族と同じで自分の国のある場所しか考えてないのよ。他の街や国はここと同じか、それ以上に酷い状況のまま」
なるほど、燐火が王族や貴族を嫌いな理由がわかった。燐火はここの街の貧しい人達の現状を知ってる。だから許せないんだな。
「ねえ正羅、結婚の話しを誰から聞いたの?私は話してないわよ」
「え、いや………」
なんとなく普通に話してたけど、わざわざクランさんが、燐火がいない時に話したってことは、燐火には秘密だったんじゃ………。
マズいな燐火は絶対俺が何のために聞いたか問いただしてくる。
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