終焉の始まり

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「僕は、また一人になるのかな………?」 真っ暗な世界で男の子は泣いていた。 小さく膝を抱えて泣いていた。 周りには何も無い、月も星も建物も無い。 あるのは男の子自身の身体のみ。 そして男の子は自分の身体が地面に接しているのか。 宙に浮いているのか、わからない。 そもそも、この空間が広いのか狭いのか。どこまで続いているのかすら、わからない。 だから不安で怖くて泣いていた。 「………燐火ちゃん……」 男の子をこの世界に落とした女の子の名前を、呟いた。 「戻らないと、あの世界に………」 泣くのを止めた男の子は立ち上がって、瞳に残る涙を拭った。 「あ、そうだ!燐火ちゃんが持ってたあの強いやつ、あれを持って行こう!」 さっきまで泣いて男の子は、女の子と出会った時のことを思い出して微笑んでいた。 「こんな感じだったかな?」 そう言う男の子の体を蒼い光が包んだ。いや、実際には蒼い光と黒い光が包んだ。 二つの光は右手と左手に別れ、拳銃の形を形成する。
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